令和7年10月23日、秋田地方裁判所は、ストーカー規制法違反および偽計業務妨害の罪に問われた伊藤幸広被告(60)に対し、懲役2年・執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
被告は当時、秋田県警察本部の教養課長という幹部警察官の立場にありました。
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事件の概要
本件は、
- 不倫関係にあった女性への長期間のストーカー行為
- 女性宅で火災が発生したとする虚偽の119番通報
という2つの重大な犯罪行為から成ります。
ストーカー行為の具体的内容
① 約15時間で11回の連続メール
令和6年5月21日午後6時07分頃から翌22日午前8時56分頃までの間、11回にわたり連続でメールを送信。
内容は、
- 面会要求
- 交際継続の強要
- 義務のない関係修復の要求
など、被害女性が拒否しているにもかかわらず執拗に送信していました。
② 自宅周辺への押しかけ・見張り(9回)
令和6年6月4日から9月16日までの間、被害女性の居住先ほか計5か所において、
- 押しかけ行為
- 自宅付近での見張り
- 周辺の徘徊
を9回にわたり反復。
しかも、県警本部内で「処罰対象となる旨の警告文書」を交付された後も行為を継続していました。
裁判所はこれを、
身体の安全、住居の平穏、行動の自由を著しく害する不安を与える行為
と認定しました。
虚偽の119番通報という重大犯行


令和6年8月11日午後9時58分頃から午後10時22分頃までの間、秋田市内の公衆電話から3回にわたり119番通報。
通報先は秋田市消防本部。
内容は、
「被害女性の居住マンションで火災が発生している」
という虚偽の事実でした。
■ 消防43人が出動
この通報により、
- 消防職員・救急隊員 合計43名
- 消防車両複数台
が出動し、約1時間にわたり建物内の検索・安否確認を実施。
当然ながら火災の事実はなく、消防業務は大きく妨害されました。
犯行動機は、
消防の立入検査を利用して被害女性と別の男性との接触を妨害したい
というもので、裁判所は酌量の余地はないと断じています。
裁判所の量刑判断
❖ 悪質とされた点
- 長期間・多数回のストーカー行為
- 警告後も継続
- 大規模な消防出動を招いた虚偽通報
- 幹部警察官という立場での犯行
特に、
社会秩序を守る立場の幹部警察官であった
ことが責任加重事情とされました。
❖ 有利に考慮された事情
- 全面自白と反省
- 被害女性との賠償合意成立
- 警察権限を直接悪用したわけではない
その結果、
懲役2年
執行猶予3年
となりました。
罰金刑は相当でないと明確に判断されています。
まとめ
本件は、
- 警察幹部によるストーカー事件
- 公的機関への虚偽通報
- 私的感情の暴走
という重大な社会的問題を含む事案です。
コンプライアンスと倫理意識の重要性を改めて浮き彫りにした判決といえるでしょう。


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