約9300万円を業務上横領|和解金を私的流用、熊本弁護士会の対応は
令和7年8月28日、熊本地方裁判所は、業務上横領の罪に問われた内川寛被告(63)に対し、懲役6年(求刑8年)の実刑判決を言い渡しました。
被告は「全国B型肝炎訴訟熊本弁護団」の代表弁護士を務めていました。
事件概要|B型肝炎和解金約9300万円を横領
本件は、B型肝炎ウイルス感染被害者に支払われた国との和解金の管理業務を担当していた弁護士が、その預り金を私的に流用した重大事件です。
被告は、
- 平成30年5月〜令和5年6月までの約5年間
- 計170回にわたり
- 合計約9329万円を横領
しました。
【具体的犯行手口】巧妙な資金移動と虚偽報告
■ 管理口座から計画的に引き出し
判決によると、被告は
- 弁護団代表名義口座
- 弁護団会計担当名義口座
に保管されていた和解金を管理していました。
これらは株式会社C銀行各支店の口座でした。
① 他人名義口座へ分散入金(368万円)
平成30年5月〜12月の間に12回、
- 合計584万円を引き出し
- うち約368万円を他人名義口座などへ入金
発覚を避けるため、分散して資金移動していました。
② 市県民税の支払いに流用(約3995万円)
平成31年1月〜令和2年12月の76回、
- 約8169万円を払い戻し
- うち約3995万円を自己の市県民税として納付
公金管理口座から直接税金支払いに充当していました。
③ 自己・家族名義口座へ移転(約4965万円)
令和3年〜令和5年の82回、
- 約1億2993万円を引き出し
- 約4965万円を自己や家族名義口座へ入金
極めて計画的・常習的な犯行と認定されています。
発覚防止のための偽装工作
判決は、さらに悪質な手口を指摘しています。
被告は、
- 上位団体であるK弁護団に対し
- 和解件数を少なく報告
- 病態区分を軽く報告
することで送金額を減らし、その差額を横領。
監査体制が不十分であることを利用し、
「後で補填すれば発覚しない」
と考えていたと認定されました。
裁判所の量刑判断|なぜ実刑6年か
裁判所は以下を重視しました。
■ 悪質性
- 5年間・170回の常習的犯行
- 被害総額約9300万円
- 被害回復ほぼなし
- 弁護士という高度な信頼職
「弁護士による業務上横領事案の中でも高額」
と明言。
■ 動機
- 法律事務所経費
- 住宅ローン
- 家族生活費
などでしたが、
酌量の余地はない
と判断されました。
世論の反応|信頼失墜への厳しい声
本件はSNSやニュースコメント欄でも大きな反響を呼び、
- 「被害者の和解金を横領とは許されない」
- 「弁護士への信頼が揺らぐ」
- 「監査体制の甘さも問題」
といった厳しい意見が多数見られます。
特に、B型肝炎訴訟は長年にわたり被害者救済を目的とする公益性の高い活動であることから、社会的失望は大きい状況です。
一方で、
- 「被害回復を最優先に」
- 「弁護士会の再発防止策が重要」
と制度改善を求める声もあります。
裁判所の量刑理由
裁判所は、
- 被害総額が高額
- 5年間・170回の反復犯行
- 被害回復がほぼない
- 動機に酌量の余地なし
と指摘。
前科が軽微で反省を述べている点を考慮しても、
実刑は免れない
と判断しました。
まとめ
本件は、
- 長期・反復・高額の業務上横領
- 発覚防止のための虚偽報告
- 被害回復が進んでいない重大事案
という点で、刑事責任が極めて重いと評価されました。
今後は被害回復の進展や再発防止策の在り方が社会的に注目されます。

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