事件の概要|交際相手と共に行われた同居男性への虐待と殺害
本件は、前田広樹被告(33)が交際相手である山口優被告(34)と共謀し、自宅に居候していた知人男性に対して、長期間にわたり暴行や屈辱的行為を加えた末、殺害し、さらに遺体を損壊・遺棄した極めて重大な事件である。
事件は令和4年11月、仙台市内の前田広樹被告方およびホテル客室などで発生した。

被害男性に対する暴行と強要行為|日常化していた虐待
前田広樹被告と山口優被告は、被害男性に対し、顔面や頭部を拳で殴る、足で蹴るといった暴行を多数回にわたり加え、鼻骨骨折などの傷害を負わせていた。
さらに、被害男性が恐怖心を抱いている状況に乗じ、
排泄物を食べるよう強要するなど、著しく人格を踏みにじる行為にも及んでいる。
これらの行為は一時的なものではなく、複数日にわたって繰り返されていた。
被害男性に対する行為のエスカレート|暴行・屈辱・支配が段階的に進行
本件では、被害男性に対する加害行為が、突発的なものではなく、段階的にエスカレートしていったことが特徴的である。
① 暴行の常態化|日常的な殴打・蹴りつけ
当初、前田広樹被告と交際相手は、被害男性に対し、
顔面や頭部を拳で殴る、足で蹴るといった暴行を繰り返していた。
これらの暴行は一度きりではなく、
被告人宅やホテル客室など、複数の場所で、複数日にわたって行われており、
被害男性は鼻骨骨折などの傷害を負っている。
裁判所も、これらの行為について
「一時的な口論に伴うものではなく、継続的な暴力行為」
であったと認定している。
② 恐怖を利用した支配|抵抗できない状況の形成
暴行が繰り返される中で、被害男性は、
被告人らに対して強い恐怖心を抱くようになっていった。
被告人らは、その恐怖心を認識しながら、
被害男性が抵抗や拒否をできない状況にあることを利用し、
行為の内容をさらにエスカレートさせていく。
この段階で、被害男性は事実上、
前田広樹被告らの支配下に置かれていた状態にあったといえる。
③ 屈辱的行為の強要|人格を否定する行為へ
その後、前田広樹被告らは、
被害男性に対し、排泄物を食べるよう要求するなど、
著しく屈辱的で人格を否定する行為を強要した。
この強要は、
「応じなければさらに危害を加えかねない」
という状況のもとで行われており、
被害男性が自由な意思で拒否できる状態ではなかった。
裁判所は、この行為を
身体的暴力にとどまらず、精神的にも重大な侵害を伴うもの
と厳しく評価している。
④ 最終段階としての殺害|暴力の帰結
こうした暴行・支配・屈辱的行為が積み重なった末、
令和4年11月10日、前田広樹被告らは被害男性の首にタオル状のものを巻き付けて締め付け、
頸部圧迫による窒息により死亡させた。
裁判所は、
それまでの経緯を踏まえ、
この殺害行為を一連の虐待の延長線上にあるものと位置づけている。
遺体損壊・遺棄|発覚を免れるための犯行
殺害後、前田広樹被人らは犯行の発覚を免れる目的で、
チェーンソー等を用いて被害男性の遺体を切断した。
切断された遺体はキャリーケースに入れられ、仙台市内の別の場所まで運ばれたうえで地中に埋められ、遺棄されている。
この一連の行為は、被害者の尊厳を著しく踏みにじるものと厳しく評価された。
さらなる犯行|被害男性の知人に対する詐欺・恐喝
前田広樹被告は、被害男性が知人男性Bに対して借金をしていた事情を利用し、その知人に対して、
- 架空の債権回収名目による詐欺
- 組織との関係を示唆する脅迫
- けん銃様の物を示しての恐喝
などを行い、複数回にわたり現金をだまし取り、また脅し取っていた。
裁判の経過|控訴審で原判決を破棄したうえで懲役25年
第一審判決に対し控訴がなされ、仙台高等裁判所は、
一部理由不備を理由に原判決を破棄。
そのうえであらためて審理を行い、
前田広樹被人を懲役25年に処する判決を言い渡した。
まとめ|同居男性への虐待が殺害にまで至った重大事件
本件は、同居していた被害男性に対する暴行や屈辱的行為がエスカレートし、最終的に殺害に至ったうえ、遺体の損壊・遺棄、さらには第三者に対する詐欺・恐喝まで行われた、極めて悪質な事件である。
仙台高裁が懲役25年という重い刑を選択したことは、
人の尊厳を踏みにじる一連の行為に対する強い非難を明確に示したものといえる。


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