概要:保険のプロを信じた結果、2800万円が奪われた
金沢地方裁判所は、投資名目で計2800万円をだまし取った詐欺事件について、城宝俊明被告(66)に懲役4年6月の実刑判決を言い渡しました。本件で特に問題視されているのは、城宝俊明被告がプルデンシャル生命の社員という立場にあったという点です。
保険・金融業界に身を置く人間は、一般の人々から「お金のプロ」「信用できる存在」として見られています。その立場を利用し、あたかも安全で確実な投資であるかのように装って行われた本件犯行は、単なる詐欺事件では済まされない、極めて悪質な信頼裏切り型犯罪と言えます。
事件の詳細:実態は自転車操業の投資詐欺
判決文によると、城宝俊明被告は以下のような手口で被害者3名から現金を詐取しました。
- 「株式投資で運用する」「年15%の運用益を支払う」などと説明
- 元本保証をうたう虚偽の契約書を交付
- 保険証券の写しを提示し、損失補填が可能であるかのように装う
しかし実際には、
- 出資金は株式投資には一切回されていなかった
- 他の出資者への返済や保険料、生活費などに流用
- 被告人は当時すでに8億円超の債務を抱えていた
という、典型的な自転車操業型の投資詐欺であったことが裁判で認定されています。

被害総額と被害者の実情
被害金額は以下の通りです。
- 被害者A:600万円
- 被害者C:500万円
- 被害者E:1700万円
合計 2800万円 にのぼります。
中には、
- 借金をしてまで出資させられたケース
- 生命保険を解約して資金を捻出させられたケース
もあり、被害者の生活基盤を直接破壊する極めて深刻な結果を招いています。
なぜここまで悪質なのか?──「金融のプロ」という仮面
本件で特に強調すべき点は、城宝俊明被告が保険会社(プルデンシャル生命)の社員だったという事実です。
一般の人にとって、
- 保険会社の社員
- 金融・投資の専門家
という肩書きは、強い安心感と信頼の裏付けになります。
「この人が言うなら大丈夫だろう」 「金融のプロが勧める投資なら安心だ」
そう思ってしまうのは、決して被害者の落ち度ではありません。
同じ保険業界に身を置く者として断じて許せない行為であり、長年にわたり業界全体が築いてきた信頼を利用して詐欺行為に及んだ点で、極めて悪質な犯行と言えます。
裁判所の判断:明確な詐欺の故意を認定
裁判所は、
- 出資時点で株式投資に充てる意思がなかったこと
- 巨額の債務を認識しながら勧誘していたこと
- 保険証券を利用した誤認誘導
などを総合し、詐欺の故意は明白と断定しました。
その結果、
- 懲役4年6月(求刑5年)
- 未決勾留日数370日算入
という実刑判決が下されています。

業界全体への警鐘:信頼を守るのは誰か
この事件は、
- 投資詐欺の怖さ
- 「肩書き」を盲信する危険性
- 金融・保険業界に課せられた倫理責任
を改めて私たちに突きつけています。
誠実に働く大多数の保険・金融関係者にとっても、本件は決して他人事ではありません。
信頼は一瞬で崩れるが、取り戻すには長い年月が必要です。
だからこそ、業界内からも強く批判され、再発防止が求められる事件なのです。
まとめ:繰り返される不祥事と、私たちが学ぶべき教訓
今回の事件は、単発の不祥事として片付けてよいものではありません。
実は、プルデンシャル生命に関しては、過去にも元社員が投資詐欺等の金融トラブルで逮捕・摘発された事例が報道されてきました。いずれも会社ぐるみの犯罪ではないものの、共通しているのは、
- 「保険会社社員」「金融のプロ」という肩書きが強い信用を生むこと
- その信用が、結果として被害拡大につながってしまうこと
です。
だからこそ、本件は「一個人の問題」で終わらせてはなりません。業界全体として、
- 社員に対する倫理教育の徹底
- 副業・個人投資への厳格な監督
- 顧客との金銭取引に対する明確な線引き
が、これまで以上に強く求められていると言えるでしょう。
同時に、私たち一般の立場にある人間も、
- 「元本保証」「高利回り」は疑う
- 肩書きや勤務先だけで信用しない
- 契約内容や資金の流れを必ず確認する
という基本を改めて心に刻む必要があります。
信頼は、最も強力な武器にも、最も残酷な罠にもなり得る。
この事件が、同様の被害を未然に防ぐための警鐘となることを強く願います。


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