【東京都2026年】給排水設備修繕訪問販売「玉岡健・藤井勝己(関東総合設備)」業務停止3か月の全容|格安広告からの高額請求・クーリングオフ拒否の手口を徹底解説

消費者被害・詐欺

消費者庁は令和8年4月16日、給排水設備の修繕工事を訪問販売の手法で営んでいた個人事業者玉岡健(東京都荒川区)および藤井勝己(東京都台東区)の両名に対し、特定商取引法違反を理由に業務停止命令・業務禁止命令を発出したと発表しました。両名は「関東総合設備」の名称で連携して営業を行っており、格安な広告で問い合わせを誘い、実際には高額な工事費用を請求する手口が確認されています。本記事では、処分の内容と具体的な違反行為、実際に寄せられた3件の被害事例をもとに、手口の実態と対策をわかりやすく解説します。

  • どのような処分が、どんな法的根拠で下されたのか
  • 「150円から」の広告の裏で、実際にはいくら請求されていたのか
  • クーリング・オフを求めた消費者は、どのような対応をされたのか(被害事例3選)

処分の概要|業務停止3か月・業務禁止命令

項目内容
公表日令和8年4月16日
公表機関消費者庁
対象事業者玉岡健(東京都荒川区)/藤井勝己(東京都台東区)
屋号関東総合設備
事業内容給排水設備修繕の訪問販売
業務停止命令令和8年4月16日~同年7月15日(3か月間)
業務禁止命令同期間、訪問販売に関する勧誘・契約締結業務を営む法人役員への就任を禁止
法的根拠特定商取引法第3条、第3条の2第2項、第7条第1項第1号、第8条第1項

玉岡健・藤井勝己の両名は、それぞれ個人事業者として登録されていますが、「関東総合設備」という同一の屋号のもとで連携共同して営業していた点が特徴です。営業所を持たず、広告を見て問い合わせてきた消費者の自宅を直接訪問する形で契約・工事を行っていました。

特定商取引法違反の内容|3つの手口

① 氏名等明示義務違反(特定商取引法第3条)

訪問販売業者は、勧誘に先立って事業者名や勧誘目的を消費者に明らかにすることが法律で義務付けられています。しかし電話や訪問の際、担当者は自らの氏名や所属を名乗らず、「調査しないと金額もわからないので、調査しに行きます。調査費5千円がかかります」と説明するのみで、事業者の氏名を明示していませんでした。

② 契約不希望者への再勧誘の禁止に違反(特定商取引法第3条の2第2項)

消費者が契約の締結を希望しない旨を明確に伝えた場合、業者はそれ以上勧誘を続けてはならないと定められています。しかし消費者が「修理は他の業者に依頼するので帰ってもらっていいですか」と断ったにもかかわらず、担当者は「便器を取り外しているので、●円は払ってもらいますよ」などと述べて勧誘を継続し、実質的に契約を迫っていました。

③ クーリング・オフの全額返金拒否(特定商取引法第7条第1項第1号)

訪問販売で契約した場合、消費者は法律で定められた期間内であれば無条件で契約を解除し、支払った代金の全額返還を受けられます(クーリング・オフ)。しかし両名は消費者からのクーリング・オフの求めに対し、「返金額は、1割になる」「全額返金には応じられない」などと述べ、受け取った金銭の全額返還を拒否していました。

【被害事例3選】格安広告から高額請求・返金拒否までの流れ

消費者庁が公表した資料には、実際に寄せられた3件の被害事例が紹介されています。いずれも「格安」をうたう広告がきっかけとなっている点、そしてクーリング・オフを求めても全額の返金を受けられなかった点が共通しています。

事例1(消費者A):「調査費5,000円」から始まり水栓交換で約10万円

令和6年12月、消費者Aはサイトに掲載された「洗面所のつまり・水漏れ解決」「通常1,700円→150円(税込)~」という表示を見て電話で問い合わせました。対応した担当者は「担当者から折り返し電話します」と言うのみで事業者名は名乗らず、折り返しの電話でも作業員は「調査しないと金額もわからないので、調査しに行きます。調査費5千円がかかります」と伝えるだけでした。Aさんはこの時点で1万円程度の出費を想定していたといいます。

実際に訪問した作業員は、「止水栓の部分が劣化しているから、水栓ごと交換しなければ、水漏れは直りません」と説明し、その場で約10万円の契約を結ばせて支払いを受けました。契約後、Aさんがクーリング・オフを申し出たところ、対応した消費生活相談員に対し「1割の返金しか応じられない」「●円の返金が限界である」と述べ、法律で認められた全額返金には応じませんでした。

事例2(消費者C):白紙の契約書に署名させられ約10万円

同じく令和6年12月、消費者Cは「キッチンのつまり修理」「150円から」という表示を見て問い合わせました。折り返しの電話では「排水口の修理の件で連絡しました。空いているので今からでも行けます」とだけ伝えられ、ここでも事業者名は明かされていません。Cさんは「どんな水回りのつまりでも150円から解決します」という表示から、やはり1万円程度を想定していました。

訪問した作業員は、何も書かれていない白紙の契約書を差し出し、「今から排水口の修理作業に入ります。この書類にあなたの名前と住所を書いてください」とだけ告げて署名させ、事業者名を明かさないまま約10万円の契約を成立させました。クーリング・オフの交渉では、消費生活相談員に対して「全額返金には応じられない」「返金額は2割が限界」と主張し、一部返金のみで押し切ろうとしています。

事例3(消費者E):断っても勧誘を続け、二段階で値段を釣り上げて約8万円

令和7年1月、消費者Eは「トイレ つまり」「通常1,580円→150円~」という表示から問い合わせました。作業員は「トイレの詰まりですよね、12時くらいには着きます」と伝えるのみで、Eさんは詳細のわからないまま訪問を受け入れています。

訪問した作業員は便器を確認したうえで、まず「この状態であれば、高圧ローポンプで、消費税込みで●円でトイレの詰まりは直せると思います」と提示。ところがその直後に「これだけ汚れていると、機械を二つ使わないと、詰まりは完璧には直らないです。その作業を行うと全部で●円になります」と価格を二段階で引き上げました。Eさんが「修理は他の業者に依頼するので帰ってもらっていいですか」とはっきり断った後も、作業員は「便器を取り外しているので、●円は払ってもらいますよ。直ってないけどいいんですか」と述べて勧誘を続け、さらに「バキュームの機械2個使うところを、クオリティは下がるけど1個にするので、●万円でやりますよ」と条件を変えて契約を迫り、最終的に約8万円で契約させました。クーリング・オフの際も、消費生活相談員に「全額返金はできない」「1割の返金しか応じない」と回答し、返金には応じていません。

3件の事例では、電話や訪問の対応者がそれぞれ異なる人物であるにもかかわらず、①電話の時点では担当者の氏名も会社名も一切明かさない、②契約前に消費者が想定していた金額(1万円程度)と実際の請求額(8万~10万円)に大きな開きがある、③クーリング・オフを求めても「1割」「2割」といった一部返金で押し切ろうとする、という手口がほぼ共通しています。特定の担当者による単発の対応ではなく、事業全体で確立されたやり方だったことがうかがえます。

命令の具体的な内容

今回の処分では、次の3つの措置が命じられています。

  • 業務停止命令:令和8年4月16日~同年7月15日の3か月間、訪問販売に関する勧誘・申込みの受付・契約の締結を停止
  • 業務禁止命令:同期間中、これらの業務を営む法人の役員(相談役・顧問など名称を問わず同等の支配力を持つ者を含む)に就任することを禁止
  • 指示:法令遵守体制の整備その他の再発防止策を講じること

こうした被害に遭わないために

今回のようなトラブルを避けるため、次のポイントを覚えておくことをおすすめします。

  • 「150円から」など極端な格安表示は、あくまで最低料金の一例にすぎない場合が多く、実際の作業内容によって高額になり得ることを念頭に置く
  • 作業員が氏名や会社名を名乗らない場合は、その場で確認し、明示されない場合は契約をしない
  • 「もう作業を始めているから」といった理由での支払い要求に応じる義務はなく、断る権利があることを理解しておく
  • 訪問販売で契約した場合、法律で定められた期間内であれば無条件・全額返金でクーリング・オフができる。事業者が一部返金しか認めない場合は消費生活センターに相談する
  • 迷ったら一人で判断せず、消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話し、最寄りの消費生活センターに相談する

まとめ|格安表示と当日の高圧的な勧誘に注意

今回のケースは、水回りのトラブルという「今すぐ何とかしたい」という消費者の心理につけ込み、格安広告で呼び込んだうえで高額な工事費用を請求し、さらにクーリング・オフの正当な権利行使にも応じないという、悪質性の高い手口でした。消費者庁による業務停止・業務禁止命令が出たことで一定の抑止効果は期待できますが、同様の手口を使う業者は他にも存在し得ます。水回りのトラブルで業者を探す際は、事前に会社名・所在地・実績を確認し、その場で高額な契約を迫られても即決しない姿勢が重要です。

出典・参考資料

本記事は、消費者庁が公表した以下の報道発表資料をもとに作成しています。処分の詳細や法的根拠の正確な条文については、一次資料をご確認ください。

▶ 消費者庁「特定商取引法違反行為を行った給排水設備修繕の訪問販売業者に対する業務停止命令等について」(PDF)

【免責事項】本記事は消費者庁が公表した行政処分に関する資料をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個別の消費者トラブルへの対応については、消費者ホットライン(188)や最寄りの消費生活センターにご相談ください。

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