【鹿児島市2026年】保育士がカッターナイフで2歳児の首を切りつけ懲役10年|笹山なつき被告「殺意なし」の主張を鹿児島地裁が退けた理由

鹿児島市の保育士による2歳児殺人未遂事件・懲役10年判決のアイキャッチ画像 刑事事件
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鹿児島地裁
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殺人未遂
認定こども園

📅 令和8年(2026年)7月16日宣告 | ⚖️ 鹿児島地方裁判所刑事部 | 📂 令和6年(わ)第138、154号

鹿児島市の認定こども園で、担任保育士が2歳児の首にカッターナイフを突き立て、1歳児の顔を棚にぶつけてけがを負わせた事件で、鹿児島地裁は殺人未遂・傷害の罪に問われた笹山なつき被告(23)に対し、求刑懲役12年に対し懲役10年の実刑判決を言い渡しました。

被告人は「殺意はなかった」と一貫して否認しましたが、裁判所はこれを退けています。判決文が認定した犯行の態様、被告人の供述、量刑の理由を詳しく見ていきます。

📄 鹿児島地方裁判所判決全文(PDF)はこちら →

事件の概要 保育士が担任クラスの園児に暴行

判決文によると、笹山被告は鹿児島市内の学校法人a学園b認定こども園c幼稚園に保育士として勤務し、事件のあった年の4月から1~2歳児クラス「よちよちルーム」の担任を務めていました。事件はこのクラスの中で、担任である被告人自身の手によって起きています。

起訴されたのは2件の犯行です。ひとつは1歳児だったBさんへの暴行、もうひとつは2歳児だったAさんへの殺人未遂で、いずれも同じ週のうちに、園内で発生しました。

第1の事件 1歳児の顔を棚にぶつけさせる

令和6年6月3日午前7時30分頃から7時55分頃までの間、園内でBさん(当時1歳)に対し、その鼻部を鈍体で打撲する暴行を加えたと認定されました。判決文は次のように記載しています。

「B(当時1歳)に対し、その鼻部を鈍体で打撲する暴行を加え、よって、同人に鼻部瘢痕の後遺障害を伴う加療約7日間を要する鼻部打撲傷及び鼻部挫創の傷害を負わせた」
——鹿児島地方裁判所判決より

加療約7日間の傷害に加え、鼻の部分には瘢痕という後遺障害が残ったとされています。無抵抗の1歳児に対する行為として、判決は後に「悪質」と厳しく評価することになります。

第2の事件 2歳児の首にカッターナイフ

4日後の6月7日午前10時55分頃、今度は園の玄関で、Aさん(当時2歳)に対して犯行に及びました。判決文が認定した行為態様は次のとおりです。

「殺意をもって、手に持ったカッターナイフの刃先をAの右頚部に力を込めて刺して食い込ませ、カッターナイフを一気に手前に引いて引き抜く態様で、Aの右頚部を切ったが、同人に加療約1か月間を要する右頚部切創の傷害を負わせたにとどまり、殺害の目的を遂げなかった」
——鹿児島地方裁判所判決より

カッターナイフの刃を首に押し込み、一気に引き抜くという行為態様が「未必の故意」ではなく明確な「殺意」の認定につながった点は、この判決の核心部分です。Aさんは加療約1か月間を要する右頚部切創を負いましたが、一命はとりとめました。

被告人の供述 「殺意はなかった」との主張

公判で笹山被告は殺意を否認し、次のように弁解しました。

「Aの肩から右の二の腕付近を狙ってAの後ろから手を伸ばしたところ、本件カッターナイフが首に当たってしまい」
「周りを気にして左後ろを振り返ったはずみで首が切れてしまった」
「Aの首を狙っていたわけではない、Aが動いた可能性もある」
——鹿児島地方裁判所判決(被告人供述)より

つまり被告人の主張は、狙っていたのは肩や二の腕であり、振り向いた拍子に偶然首に刃が当たった、というものでした。一方で被告人自身、次のようにも供述しています。

「首を傷つけることは危険であると認識していた」
——鹿児島地方裁判所判決(被告人供述)より

この「危険性の認識」自体は否定しなかった点が、後の裁判所の判断で重要な意味を持つことになります。

⚠️ 公判で明らかになったこと

  • 南日本放送(MBC)の報道によると、笹山被告は判決宣告に先立つ公判で、起訴された2人の園児を含む「5人に暴行を行っていた」と自ら明らかにしたと伝えられています。
  • 今回の判決で有罪と認定されたのは、起訴された2件(Bさん・Aさん)のみです。それ以外の暴行については、この判決文には記載がなく、別途の捜査・立件の有無は本記事執筆時点で確認できていません。

裁判所の判断 なぜ「殺意」が認定されたのか

「肩を狙ったつもりが、はずみで首に当たった」という被告人の主張に対し、裁判所は法医学的な所見をもとにこれを認めませんでした。判決は次のように述べています。

「被告人の行為がAを死亡させる危険の高い行為であることが認められる。そして、被告人が首にある筋肉や血管の具体的な種類や位置関係を知らなかったとしても、被告人自身も首を傷つけることは危険であると認識していたと供述していることからも、被告人は自身の行為がAを死亡させる危険性が高い行為であると分かって行ったことが認められる」
——鹿児島地方裁判所判決より

傷の深さが一定であることなど法医学的な証拠から、力を込めて意図的に刃を押し込んだ行為と認定し、被告人自身が「危険性」を認識していたと自ら供述している以上、少なくとも未必的な殺意はあったと判断した形です。偶然の事故ではなく、故意の行為だったという結論です。

量刑の理由 求刑懲役12年に対し懲役10年

検察側は懲役12年を求刑しましたが、裁判所は懲役10年(未決勾留日数中200日算入)を言い渡しました。判決が量刑理由として挙げたポイントは以下のとおりです。

01

行為の悪質性

保育士という立場にありながら、無抵抗の乳幼児に対して行った行為を「極めて悪質」と評価。

02

反省の不十分さ

反省の弁を述べる一方で園などへの責任転嫁とも取れる発言があり、「真摯に反省しているとは言い難い」と指摘。

03

被害者側の処罰感情

AさんBさん双方の保護者が厳罰を求めているのは当然と評価。示談も成立していない。

04

同種事案との比較

同種の殺人未遂事案と比較して「重い部類」に位置づけられると判断。

項目 内容
罪名 殺人未遂、傷害
検察官の求刑 懲役12年
判決主文 懲役10年(未決勾留日数中200日算入)
示談 両被害者側とも未成立

求刑より2年短い懲役10年という量刑ではありますが、被害の重大性や保育士という立場を踏まえれば、同種事案の中でも重い部類に入る判断だったと言えそうです。乳幼児の保育を任された人物による犯行という点が、量刑判断に色濃く反映された形です。

よくある質問

Q. 被害に遭った園児2人の容体は?

判決文によると、Aさん(当時2歳)は右頚部切創で加療約1か月間、Bさん(当時1歳)は鼻部打撲傷・挫創で加療約7日間かつ鼻部瘢痕の後遺障害を負ったとされています。いずれも生命に別条はありませんでした。

Q. なぜ実名が報じられているのか?

判決文自体は匿名の「被告人」表記ですが、南日本放送(MBC)など報道各社が実名で報じています。本記事もこれらの報道を出典として実名表記としています。

📌 この判決のポイントまとめ

  • 鹿児島市の認定こども園で、担任保育士がクラスの1歳児・2歳児に相次いで暴行し、うち2歳児にはカッターナイフで首を切りつけた。
  • 被告人は「殺意はなかった、はずみで切れた」と主張したが、裁判所は法医学的所見と被告人自身の「危険性の認識」に関する供述から殺意を認定した。
  • 量刑では「極めて悪質」「反省が真摯とは言い難い」と厳しく評価され、求刑懲役12年に対し懲役10年の実刑が言い渡された。
  • 報道によれば、被告人は公判で起訴事実以外にも複数人への暴行を認めたとされ、全容には不明な部分も残る。

出典・参考資料

・鹿児島地方裁判所判決文(令和6年(わ)第138、154号)(裁判所ウェブサイト)
・南日本放送(MBC/TBS系)「認定こども園で保育士が園児の首を切りつけた事件を受けて…」(2026年7月14日)

【免責事項】本記事は、裁判所が公表した判決文および報道機関による公開報道をもとに作成しています。判決文における被告人の年齢・氏名は匿名表記のため、実名・年齢は上記報道を出典としています。内容の正確性には注意を払っておりますが、最新の情報や詳細については一次資料(判決文・各報道)を直接ご確認ください。本件は被害者に乳幼児を含む重大事件であることを踏まえ、被害児童を特定しうる情報は判決文の表記(A・B)に準じて匿名としています。

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